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Day surgery for glaucoma日帰り緑内障手術
緑内障とは

古典的には眼圧が高いことによって、目の神経(視神経)が障害され、視野が欠けていく病気です。正式には緑内障性視神経症といい、日本における失明原因の1位を占める病気です。
緑内障病型
正常眼圧緑内障・開放隅角緑内障(偽落屑症候群・続発性緑内障の一部・ステロイド緑内障を含む)・閉塞隅角緑内障(緑内障発作・続発性緑内障の一部を含む)に分類されます。
治療原則
どのタイプの緑内障であれ、エビデンスが唯一ある治療法は眼圧を下げることです。点眼によって眼圧を下げることが主たる治療となりますが、眼圧が十分にさがらない、下がっているが視野の悪化が止まらない場合には、さらに眼圧をさげるため、外科的治療が必要になります。この外科的治療にも段階があり、流出路再建術(繊維柱帯切開術)と濾過手術(繊維柱帯切除術)、さらには緑内障インプラント手術があげられます。当院では、原則、もっとも術後合併症の頻度が少ない流出路再建術(繊維柱帯切開術)を主に行い、それでも効果不十分であればインプラント手術を検討いたします。わかりやすく言うと、繊維柱帯は台所の生ごみネット、シュレム管はそのあとの排水管です。繊維柱帯切開は、排水管の入口である、生ごみネットを切ることによって、通りやすくすると思ってください。
Type of surgery手術の方法
線維柱帯切開術
1.手術時間は約15-30分前後前後で、局所麻酔で行います。
2.角膜に2~3カ所創を作成し、繊維柱帯の一部を切開し、そこからシュレム管をマイクロフックを用いて140度程度切開します。この際、組織が切られるので、当然出血を起こします。
3.白内障(水晶体の混濁)がなくても、緑内障治療のために白内障の手術を同時に行う場合があり、通常眼内レンズを挿入します。
4.術後出血は程度の差こそあれ、必発です。通常2週間以内に引きますが、1か月以上たってもひかない、もしくは術後高眼圧を逆に引き起こした場合には、眼内洗浄が必要になることもあります。
5.そのほかの合併症として、眼内炎(2000例に1例)、駆逐性出血(20000例に1例)、水疱性角膜症などがあります。術後に起こり得るいろいろな合併症に対して、その都度、何らかの処置もしくは手術が必要になることもあります。
緑内障インプラント手術(プリザーフロマイクロシャント)
手術時間は約15-30分前後前後で、局所麻酔で行います。
2023年より国内でもプリザーフロマイクロシャントという緑内障手術デバイスが使用可能になりました。このプリザーフロは濾過手術(線維柱帯切除術やエクスプレス挿入術など)に含まれる手術になりますが、線維柱帯切除術と比べると、低侵襲で簡便に行えるという特徴があります。線維柱帯切除術は、強膜フラップを作成するという繊細な手技が必要で、さらに線維柱帯切除術では線維柱帯を切除する際に前房水の流出が起こるため、手術中の眼圧の変動が非常に大きくなり、眼への侵襲も大きくなります。一方プリザーフロは強膜フラップ作成を行う必要がなく、結膜切開をした後にプリザーフロを挿入し、結膜縫合をするのみで良いため、非常に簡便で侵襲も少なく行なえます。
プリザーフロは手術翌日の眼の状態が手術を行ったとは思えないほどきれいな状態であり、極めて低侵襲な手術です。今後、ある程度進行した緑内障手術の初回手術はプリザーフロが主な術式になっていくものと思われます。プリザーフロは使用され始めてまだそれほど時間がたっていないため、長期的な眼圧経過がまだ不透明な面もありますが、低侵襲であり、セカンドラインとして線維柱帯切除術を持ち得るのであれば、初回手術して非常に有力な選択肢だと思われます。
Visual prognosis視力予後

一般に緑内障の手術は眼圧を下げるためであり、視力を改善させる目的はありません。これ以上の緑内障による視力・視野障害を予防するために行うものです。またこの手術で残念ながら眼圧が下がらない方も10%程度おられますし、下がったとしても時間経過とともにまた上がってくる方もおられます。正直、緑内障は点眼治療のみで、進行予防できるのがベストです。しかしながら、手術にまで至った場合には、もっと厳密に眼圧コントロールを行うことが必要で、それは我々眼科医のみならず、患者さんの理解と努力も必要になります。